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読んだきっかけ
職場の読書家が毎日本を読んでいるので、どんな本を読んでいるのだろう?と気になりおすすめ本を借りて読んでみました。
『詩羽のいる街』山本弘
詩羽でしいはと読みます。ジャンルは何なんだろう?SF作家のようなのだけれど、この作品はどちらかという現実的な話です。SFマニアやら漫画家のキャラクターはいっぱい出てきます。
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あらすじ
舞台は賀来野市という架空の街。詩羽は困っている人と人を結びつけて問題を解決をして生活している。お金も家も衣服も持たず、助けた人に何ヶ月か一回泊まり歩くような暮らしだ。農家とレストラン、医者と古書店主、寺の住職と同人誌編集家・・・
話は全4話構成で以下のような人々の視点で話は進んでいく。
・漫画家志望だがなかなか成果の上がらない青年
・自殺しよう実行しようとする少女
・しょぼいいたずらまがいの犯罪ばかり繰り返す大学教授
・とある理由で詩羽を追い求める女性
それぞれ詩羽と詩羽を取り巻く人達と関わる中で不思議と救われ人生が変わっていく。
見どころ
この詩羽だが、人を見る目、人と人を引き合わせる才能がある。1話序盤には子ども同士のカード交換会を開き、詩羽はカードについての知識は全然ないのにそれぞれの子供達を満足させるトレードを成り立たせる。ただの善人ではなく、記憶力、判断力、直感力、交渉術など優れたスキルを持ち合わせていることが披露される。
終盤に詩羽は漫画家の早紀に「正義か愛か良心でやっているのか?」と聞かれた際に「強いて言えば論理」だという。そこで幸田露伴の『番茶会談』という話を持ち出して以下のような話をする。
漁業家の文野は、フランスの業者と鮭の缶詰36万個の取引をする。契約条件は数量不足・品質不良があれば損害賠償を支払うというもの。文野の漁場だけでは鮭の数が足りないので他の漁業家にも相場より少し高い値段で鮭を買い上げるお願いをしていたものの、文野の弱みに付け込み他の漁業家は値段を釣り上げる。文野はやむを得なく、その鮭を買うものの、フランスの業者との取引はそれ一回となった。他の漁業家が変に値段が吊り上げなければ、フランスの業者、文野、他の漁業家の三者が長期的に利益を得るというのに。
詩羽が行っているのはこの論理を皆に分かってもらうように動くというものだった。
『だから愛とか正義とか関係ないです。そんなお題目で人間は動かせません。協力するほうが得だって気づかせればいいんです』
まとめ
興味本位で借りた本ですが借りてよかったです!
各4話それぞれのキャラクターの悩みもなかなか重いものがあり、それをどのように詩羽が救っていくのかなかなか読み応えがありました。特に3話の教授は救いようがない人物に思えたのですが、素晴らしいラストを飾ってくれました。
自分の好きなものを読むのもいいですが人のおすすめ本を読むのも視野が広がっていいですね。
皆さんも周囲に読書家がいたら本を是非紹介してもらってみてください。世界が広がりますよ〜。
ではでは〜。
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